
足のむくみ
夕方になると足がパンパンに腫れて靴下の跡がなかなか消えない・・・
足のむくみ(浮腫)は多くの方が経験する身近な症状です。立ち仕事や長時間の移動などで一時的に起こることもありますが、心臓や腎臓などの病気が隠れている場合もありうるため油断できません。
足のむくみとはどんな症状?
足のむくみとは、血管から染み出た水分が足の皮下に溜まって起こる腫れのことです。
特に心臓から遠く重力の影響を受けやすい足(足首~ふくらはぎ)はむくみが出やすく、多くの場合、両脚に指で押すと凹みが残るような腫れが現れます。日中に足がパンパンに張っても、一晩横になって足を休めると朝には引いていることもあります。
逆に夕方から夜にかけてむくみが強くなりやすいのが特徴で、靴や靴下がきつく感じられることで気づく方が多いでしょう。なお、片足のみにむくみが出ている場合は、ケガや血管のトラブルなど局所的な原因が疑われます。
足のむくみの原因
- 心不全(心臓の機能低下)
- 心臓のポンプ機能が弱まり血液を十分に送り出せなくなると、血液が心臓に戻りにくくなって足に余分な水分が溜まり、むくみの原因となります。この心臓が原因のむくみは両足に均等に生じ、夕方から夜にかけて悪化しやすいことが特徴です。また体の水分が滞るため体重が増加しやすく、進行すると息切れや倦怠感を伴うこともあります。
- 腎臓の病気
- 腎臓の働きが低下すると水分や塩分の排出がうまくいかなくなり、体内に余分な水分が蓄積してむくみが生じます。腎臓の病気によるむくみは左右対称に現れることが多く、重力の関係で体重が2~3kg増加すると足首のあたりからむくみ始めます。腎臓からタンパクが漏れ出るネフローゼ症候群でも全身のひどいむくみを来すことがあります。
- 下肢静脈瘤
- 足の静脈にある弁が壊れて血液が逆流し、血液のうっ滞によって静脈がこぶ状に膨らんだり、足がだるい・重い・むくむといった症状が現れます。皮膚表面に青い血管が浮き出る、夕方になると特にふくらはぎが張る、といった場合は下肢静脈瘤の可能性があります。
- その他の原因
- 上記以外にも、肝臓の病気(肝硬変)や甲状腺機能低下症、長時間同じ姿勢でいることや加齢による筋力低下、肥満、薬の副作用など足のむくみの原因はさまざまです。例えば高齢の方ではふくらはぎの筋力が衰えたり食事量が減ったりすることで血液を押し戻す力が弱まり、軽い心不全や腎機能低下がなくても慢性的な足のむくみが現れることがあります。一方で、立ち仕事や長距離移動の後に一時的に足がむくむのは珍しくありません。むくみの原因は一つとは限らず、複数の要因が重なっているケースも多いのです。
足のむくみは重大な病気のサイン?
- むくみが数日以上続く、またはだんだん強くなってきている
- 息切れや動悸などの症状を伴っている
- 急激な体重増加を認める
- 片方の足だけが急にむくんでいる(痛み・熱感を伴う場合は特に注意)
これらに当てはまる場合、心不全による重度の循環不全、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)による血栓、蜂窩織炎など感染症の可能性があり、早急な対応が必要です。
むくみを放置するとどうなる?
むくみを「そのうち治るだろう」と放置してしまうのは危険です。
原因となる病気の治療が遅れると、症状がどんどん悪化して取り返しがつかなくなる可能性があります。例えば心不全によるむくみをそのままにしていると、全身の水分がさらに増えて肺に水が溜まり、突然呼吸困難に陥るケースもあります。
深部静脈血栓症に気づかず放置すると、血栓が肺に飛んで肺塞栓を起こし命の危険があります。
下肢静脈瘤を長年放置した場合、慢性的な血液うっ滞から皮膚炎や色素沈着を生じ、最悪潰瘍(難治性の傷)ができてしまうこともあります。また、足のむくみの裏にある腎臓病や肝臓病を見逃せば、病状が進行して将来的に透析治療が必要になったり、命に関わる合併症を招いたりしかねません。
むくみがなかなか引かないときは、「そのうち治る」と自己判断せず、医師に相談して根本原因を確かめることが大切です。
当院でできること
むくみが気になって内科を受診された際には、まず医師が全身状態を診察し、むくみの程度や分布、一緒に出ている症状などを丁寧に確認します。
例えば片足か両足か、むくみ以外に息切れや痛みがないか、これまでの持病や服用中の薬は何か、といった点を総合的にチェックします。その上で必要な検査を行い、むくみの原因を詳しく調べます。
胸部レントゲン写真で心臓の大きさや肺の状態を確認し、血液検査で心臓の負担を示すBNP値を測定します。また腎臓や肝臓の働きをみる血液検査、尿にタンパクが漏れていないかの検査、甲状腺ホルモンの検査などを実施し、全身的な原因を探ります。
検査の結果、むくみの原因が判明したら、その原因に合わせた治療を行います。心不全によるむくみであれば、利尿剤によって余分な水分を体から排出させる治療を行います(症状が強い場合は循環器専門医と連携します)。
食事の塩分・水分制限や薬物療法を行いつつ、必要に応じて腎臓内科で精密検査や専門治療を受けられるよう手配します。
弾性ストッキングの着用や生活指導を行い、症状が強いときは血管外科と連携して硬化療法や手術なども検討します。深部静脈血栓症であれば血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)による治療が必要です。蜂窩織炎(皮膚の細菌感染)には抗生物質の投与を行います。
足のむくみは早めにご相談を
しかし、むくみが続く場合は決して自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。原因が軽度であれば生活指導などで早期に改善できますし、万一重大な病気が隠れていても早期に発見できれば適切な治療で重症化を防ぐことができます。
当院では総合的に原因を見極め、必要に応じて専門病院をご紹介いたします。
