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胸が痛い・動悸|救急医が教える受診の目安

仕事中に胸がズキッと痛んだ。階段を上ったら心臓がドキドキしてなかなか治まらなかった。夜中に胸が苦しくて目が覚めた。

そんな経験をしたとき、「病院に行くべきなのか、それとも様子を見ていいのか」の判断は意外と難しいものです。

この記事では、救急科専門医として多くの胸痛・動悸の患者さんを診てきた経験をもとに、「すぐ受診すべき症状」と「落ち着いて対応できる症状」の見分け方をお伝えします。

目次

こんな症状はありませんか

胸の痛みや動悸には、さまざまな感じ方があります。以下のような症状に心当たりがあれば、一度医療機関で確認しておくことをおすすめします。

  • 胸の真ん中から左側にかけて、締めつけられるような痛みや圧迫感がある
  • 階段を上ったり小走りしたりすると胸が苦しくなり、休むと治まる
  • 安静時や就寝前に突然心臓がドキドキし始める
  • 脈が飛ぶ感じや、一瞬心臓が止まるような違和感がある
  • 胸の痛みとともに息苦しさや背中の痛みを感じることがある

胸の痛みや動悸の約6〜8割は、結果的に心臓以外の原因(筋肉や神経、ストレス、消化器など)であることが多いとされています。ただし、残りの2〜4割には命にかかわる病気が含まれます。

「たぶん大丈夫だろう」ではなく、「大丈夫であることを確認する」ために受診するという考え方が大切です。

すぐに救急車を呼ぶべき症状

救急の現場では、「もう少し様子を見ていれば」という判断が命取りになる場面を何度も見てきました。

以下のいずれかに当てはまる場合は、迷わず119番に電話してください。

  • 今まで経験したことのない激しい胸の痛みが突然起きた
  • 胸の痛みが安静にしていても15分以上治まらない
  • 冷や汗が止まらない、吐き気がある、意識がもうろうとする
  • 胸の痛みが左肩・左腕・背中・あごにまで広がっている

これらは心筋棗塞や大動脈解離など、一刻も早く治療を始めなければならない病気のサインである可能性があります。心筋棗塞は発症から治療開始までの時間が予後を大きく左右します。

「大げさかもしれない」と感じても、結果的に重大な病気でなかったのであればそれで安心できます。迷ったら呼ぶ、が原則です。

落ち着いて受診できる症状

一方で、以下のような場合は慢わず落ち着いて対応して大丈夫です。ただし、繰り返すようであれば一度は医療機関で確認しておきましょう。

  • 一瞬「チクッ」としただけで、数秒で治まった
  • 胸の一点を押すと痛む(体動や呼吸で痛みが変わる)
  • 深呼吸や体をひねったときだけ痛む
  • 緊張やストレスの強い場面で動悸が起き、落ち着くと治まる

これらは肋間神経痛や筋肉痛、ストレスによる自律神経の乱れなどが原因であることが多く、緊急性が高い病気ではないケースがほとんどです。ただし「たぶんこれだろう」と自己判断するのはおすすめしません。

心配が残るなら、診察時間内に受診して確認しておくと安心です。

胸の痛み・動悸の主な原因

胸の痛みや動悸は、心臓だけでなく実にさまざまな原因で起こります。代表的なものを整理しました。

狭心症・心筋棗塞

心臓に血液を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりする病気です。胸の真ん中から左側にかけての圧迫感や締めつけられる痛みが特徴的で、運動時に出て休むと治まるのが狭心症、安静時にも続くのが心筋棗塞の典型的なパターンです。

不整脈

脈が速くなる、遅くなる、不規則になるなど、心臓のリズムの乱れの総称です。動悸の原因として最も多く、とくに心房細動は脳棗塞のリスクを高めるため注意が必要です。期外収縮(脈が飛ぶ感じ)は健康な方にも起こりますが、頻度が高い場合は一度確認が必要です。

肋間神経痛・筋肉痛 

胸の一点を押すと痛む、体をひねると痛むといった場合は、肋骨の間を走る神経や胸の筋肉の痛みであることが多いです。緊急性は低いですが、繰り返す場合は受診をおすすめします。

逆流性食道炎 

胃酸が食道に逆流することで胸が焦けるような痛みや圧迫感が起こります。狭心症と紛らわしい症状が出ることがあり、医療機関での鑑別が必要な場合があります。

ストレス・自律神経の乱れ

強い緊張や不安、過労が続くと自律神経のバランスが崩れ、動悸や胸の締めつけ感を感じることがあります。働き盛りの世代には比較的多く見られますが、まずは心臓の病気を否定しておくことが大切です。

当院の検査・治療

花木内科クリニックでは、胸の痛みや動悸でお困りの方に対して、以下の検査を行っています。

心電図検査

心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や狭心症の兆候がないかを確認します。

ホルター心電図(24時間心電図)

小型の機器をお体に装着し、1日の心臓のリズムを連続で記録します。「ときどき起きる動悸」のように、診察室での短時間の検査では捕らえにくい不整脈を見つけるのに適しています。

胸部レントゲン・血液検査

肺や心臓の状態を画像で確認するとともに、血液検査で貧血や甲状腸機能の異常など、動悸の原因となりうる全身の状態を確認します。

当院の花木奈央医師は救急科専門医として、救急医療の現場で多くの胸痛・動悸の患者さんを診療してきました。「見逃してはいけない状態を見極める力」を活かして、緊急性が高い病気が隠れていないかをしっかり見極めます。

心臓カテーテル治療や心臓外科などの専門的な治療が必要と判断した場合には、連携する専門医療機関へ速やかにご紹介いたします。

当院へご相談ください

胸の痛みや動悸は、「たぶん大丈夫」と「もしかしたら」の間で迷いやすい症状です。その「たぶん大丈夫」を医学的に確認することが、受診の一番の意味です。

胸の痛みが何科にかかればよいかわからないという方も、まずは内科でご相談ください。心電図や血液検査などを通じて原因を絞り込み、必要に応じて専門医療機関への橋渡しも行います。

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